相続の対象となる財産の種類とは?具体的に解説
家族や親族が亡くなるという大変なタイミングでも、的確に、そして冷静に対応する必要があるのが相続に関する問題です。
「我が家には相続するような財産はそんなに多くない」と考えている方も多いかと思いますが、実際相続のタイミングになると、何を相続して、何が相続対象外なのか、判断するのは簡単ではありません。
この記事では、相続する財産と、相続対象外の財産などについて、簡単に解説していきます。
相続の対象となるのは?
相続の対象と考えた場合、純粋に相続すべきものと、相続税の対象となるものという2つの考え方があります。
相続の対象であっても、相続税の対象にはならないものもありますし、相続の対象ではなく「みなし相続財産」として扱い、相続税の課税対象となるものもあります。
ここでは相続税のことは一度忘れて、単純に「相続の対象となるもの」を解説しましょう。
相続の対象となるのは、故人に「一身専属権があるもの」以外すべてといえます。
財産に限らず、祭祀権利なども相続すべきものに含まれますので、相続すべきかどうか悩む物に関しては、「一身専属権」の有無に注目しましょう。
一身専属権とは、その人個人にのみ発生する権利や資格です。
詳しくは後の項で解説していきます。
マイナスの財産も相続の対象
相続すべき財産は、何も経済的にプラスの価値がある財産だけではありません。
経済的にマイナスとなる財産も相続の対象となります。
例えば借入金、つまり借金に関しても財産として相続をする必要があります。
仮にプラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合は、相続放棄という方法で、すべての財産の相続を放棄することも可能です。
ただし、プラスの財産だけ相続し、マイナスの財産は放棄ということは認められていませんのでご注意ください。
相続の対象となる財産の代表例
相続すべきものとしては、上記の通り、一身専属権のないものすべてですが、「財産」となった場合、少々考え方が変わります。
相続すべき財産としては、原則「経済的な価値があるもの」ということになります。
代表的な財産としては、預貯金や不動産、有価証券に自動車などの動産が挙げられるでしょう。
ここでは、こうした代表的な例を除いた、判断が難しい財産に関して解説していきます。
個人事業主の事業に関する財産
故人が会社経営者であった場合、会社の持つ財産や負債に関しては、すべて会社名義のものとなりますので相続の対象となりません。
ただし、故人が個人事業主であった場合、事業に関する財産はすべて相続対象の財産となります。
不動産や自動車、機械設備、さらに売掛金や買掛金に関してもすべて相続対象となります。
死亡原因となった交通事故の損害賠償請求権
仮に故人が亡くなった原因が交通事故であり、加害者に損害賠償の請求ができるというケースでは、その損害賠償の請求権は相続の対象となります。
つまり、故人に代わり、請求権を相続した方が加害者に対し損害賠償を請求できるということになります。
税金の未納・未払い金
故人に家賃等の未払い金があった、もしくは税金の滞納があった場合、これらに関しては相続の対象となるマイナスの財産となります。
祭祀権利
財産ではないものの、相続すべきものとして祭祀権利があります。
祭祀権利とは墓所や墓石、さらに仏具や位牌、家系図などを指します。
こうした祭祀権利に関しては、相続の対象ではあるものの、「財産」ではなく「権利」という扱いのため、当然相続税の課税対象外となります。
また、こうした祭祀権利に関しては、相続人の中から1名が相続すると定められており、遺産分割協議の対象外です。
相続の対象とならない財産の代表例
続いては相続の対象とならない財産の代表的なものを紹介していきましょう。
中には扱いが複雑になるものもありますので、最終的な判断は、法の専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
死亡退職金・死亡保険金
扱いが難しい財産の一例が死亡退職金や死亡保険金です。
この2つはどちらも、故人が死亡時に持っていた財産ではなく、故人が亡くなったことで発生する財産であり、「みなし財産」と呼ばれます。
結論をいうと、原則として死亡保険金も死亡退職金も相続財産にはあたりません。
相続財産とならない条件は、どちらも受取人が指定されているケースです。
つまり、受取人固有の場合、故人の財産ではなく、受取人の財産として考えられるためです。
ここからがややこしいのですが、どちらも権利上は相続対象の財産ではないのですが、みなし財産ではあるので相続税の課税対象になります。
このあたりに関しては、実際のケースにおいて、弁護士から詳しく説明を聞くのがおすすめです。
相続財産ではないものの、金額によっては相続税の課税が必要という財産となります。
一身専属権
一身専属権とは、故人が持っていた固有の権利を指します。
つまり相続人が代わることができない権利、もしくは代わる必要がない権利というものです。
代表的な一身専属権が、故人が所有していた資格や、持っていた親権、さらに生活保護受給権などです。
ちなみに金銭的な権利義務に関しては、一身専属権とは認められません。
そのため、故人が何かしらの契約において、連帯保証人であった場合、この連帯保証人としての権利義務は相続人に相続される財産となります。
まとめ
親族や家族など、親しい方が亡くなった場合、相続の問題が発生するケースは少なくありません。
何が相続財産で、何が相続財産ではないのか?また、だれが相続するのか?相続放棄をするとどうなるのか?など、相続に関しては考えるべき項目が多いのが事実です。
しかし、実際に家族や親族が亡くなったという大変な状況で、こうした諸問題に対応するのは簡単ではありません。
相続に関しては、無理に自身で判断するのではなく、法の専門家である弁護士を頼るのがおすすめです。