遺言作成
遺言は遺言者の意思を表示し実現するための制度です。遺言書を書き遺言者の持つ財産の処分方法を明確にすることで、故人様の死後にご遺族の間で相続争いなどのトラブルが起こることを未然に防ぐことができます。
一般的な遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があり特徴が様々です。それぞれについて詳しく確認していきましょう。
■自筆証書遺言
自筆証書遺言は最も簡単に、費用もかけず作成することができる遺言の形式です。他の2つの形式とは異なり、公証役場に出向く必要もありません。しかし、法律に定められた条件を満たさないと有効に扱われないため、注意が必要です。
・必ず遺言者ご本人が自筆で記入する
代筆のもの、ワープロソフトで作成・印刷したものの場合は無効となります。(財産目録を除く)
・必ず日付(年月日)を記入する。
遺言書が多数ある場合どれが有効であるのか、作成時に遺言者に意思能力が認められたかなど、遺言書の作成日は大変重要です。2019年2月吉日などという表現は認められません。きちんと正確な作成日を記入しましょう。もちろんこちらも自筆での記入が不可欠です。
・署名・押印を忘れない
署名をしていても押印を忘れていたという場合が多く見られるため注意が必要です。また、認印を使用しても問題はありませんが、実印が望ましくあります。
・訂正をしない。
文書を訂正した場合は、遺言者がその変更場所を指示し、その旨を付記、署名し、かつ、その変更箇所に印を押す必要があります。もう一度、正確に書き直しをした方が間違いを減らせます。
■公正証書遺言
公正証書遺言は、3つの形式の中で最も確実に作成することができる遺言の形式です。公証役場で証人2人以上の立ち会いのもと公証人が作成し、原本は公証役場に保管されるため、改ざんや紛失の心配が無く、自筆証書遺言や秘密証書遺言などのように家庭裁判所での検認が不必要でそのまま執行手続きに進めることが大きなメリットです。その一方で、遺言の内容を証人に知られてしまい、作成に費用も時間もかかるなど、デメリットもあります。証人となれる人にも細かな条件があるため、多くの準備が必要となります。
■秘密証書遺言
秘密証書遺言は3つの中で最も利用されにくい形式の遺言です。これは遺言者本人が作成した遺言書を公証人に持参し、遺言書の内容を伏せたまま存在のみを証明してもらうものです。秘密を守るため遺言書自体を封筒に入れ遺言書に押印したものと同じ印で封印をすることなどが求められています。こちらは執行に家庭裁判所での検認が必要となります。また、秘密証書遺言としては認められない場合でも、自筆証書遺言としては認められるケースもあるため、パソコンや代筆により作成するのではなく、自筆証書遺言の形式に沿って作成することをおすすめします。
このように遺言の書き方には様々な種類があります。どの方法で遺言を作成しても、方式に則っていればきちんと効力は発生します。要件を満たさず、遺言が無効となってしまうことのないように、署名捺印など最後まで気を抜かないように気をつけましょう。
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